NGワード

太郎がまだ話せなかった頃に私が繰り返し太郎に掛けていた言葉は『太郎君!って呼ばれたら返事はハイ!やで』だった。
まだ話せなかった太郎はその言葉を聞く度に私を見た。
その先に太郎の口から言葉が出る保証なんて何もなかったけど、私は繰り返し繰り返し、その言葉を彼に語りかけたのだ。

私は当然まだ話せない頃の花子にも同じように言葉を掛け続けた。
花子の1歳の誕生日のビデオに、今は亡きおじいちゃんに名前を呼ばれて短い手を上げながら『あい!』と返事をする花子の姿が残っている。
同じくその時に名前を呼ばれ、恥ずかしそうに返事をする太郎の姿もある。太郎が3歳半くらいか。
何とまぁ二人とも可愛かったことだろう。

重々自覚しているのだが、前述の通り私はそもそもどちらかと言うと口が悪い。
どちらかと言わなくても悪い。
子供達はもう慣れっこになっているのであまり気にしないだろうが(いや、多分)外で太郎や花子を叱った日には周りの視線に『んまっ!虐待だわ!』『もうちょっと優しく言えばいいじゃいの!』的な意味が込められているのを感じる。
だが別にそんな事はどーでもいいのだ、所詮は赤の他人だしな。

で、その口の悪い母は二人が話せるようになってから一々『ほら、太郎君、お返事は?』『花子ちゃん!お返事は?』なんて今まで一度も言ったことがない。
名前を呼んで返事がない時は『返事っっっ!』と言い捨てるか、『おいっ!』と脅すか、だ。
その時に小さい声で返事をしても聞こえない振りをする。
あくまでも返事は大きい声で!が原則なのだ。

そんな母の教育方針を身に付けた太郎は大きい声で返事をする。いや、大きすぎる気もする。
まぁ最近は返事の代わりに『うるさい‼』とか『ママあっち行って‼』とか言われるけどさ。

問題は花子だ。
例えば『片付けろ!』と私が言うとプイッとして動作も荒く大きく音を立てて動いたりする。おまけにため息までつきやがることがある。
その動作が母の琴線に触れる事はもう嫌と言う程分かっているだろうに。
そして私に言われるのだ『その態度はなんや‼』
そしてまたしても我が家に闘いのゴングが鳴る訳だ。いい加減にしろよと自分でも呆れるんだかこればっかりは仕方ない。

昨年私は花子に『この先貴女が反抗期を迎えるにあたり、NGワードを3つ先に伝えておきます』と静かに宣言した。『その3つのNGワードを貴女が口に出した瞬間に、自分の身体が壁まで飛ぶ覚悟をしてから言いなさい』とも言った。『それ以外のことなら、まぁ黙って聞いてやるから好きに言えばよろしい』とも言った。
聞き終わった花子は『……恐すぎるから、それだけは言えません』と言ったのだ。

だけど、きっといつか花子がその3つの中のどれかを口にする瞬間は来ると睨んでいる。
その時は本気でいくからな、母は。

けれど1つだけ懸念しているのは花子が実はとある武道の有段者だという事実だ。
この年老いてきた身体で勝てるのか?私。
だけど母として負ける訳にはいかないじゃないか!
皆様、その時には応援よろしくお願いします(笑)












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by ganbaru-okan | 2017-02-13 23:40 | 花子のこと | Comments(0)