人を見る目

太郎は野生の勘なのか、自分に対しての相手の気持ちは見抜くようだ。
相手が自分に対して悪意や嫌悪がある場合は太郎の表情もそれなりに変化する。
大したものだな、とそこは母として本当に感心する。

まだ太郎が小学生の低学年だった頃、道端でよく出会う子がいた。
その子は好奇の目をして太郎をジロジロと眺め、ある日『ヨダレ垂れてるやん!キッタネー!』と言い放ったのだ、太郎に向かって。
言われた太郎はうつむき表情が固くなった。太郎はまだ言い返す言葉を持っていなかった。悔しかっただろう。

その流れを車イスの後ろでじっと見ていた私。
大人気ないが、私も彼のその悪意にスイッチが入り、逆に言い返したのだ、太郎の代わりに。

『あんた、鼻垂れてんで?キッタネー!』

言われたその子は一瞬押し黙りそのまま駆けて行った。
どうだ参ったか。太郎の後ろにはこの私が居ることに気付かなかった君の負けだ。
私が言い返したところで太郎の心が受けた傷を治してはやれないんだけど。そして私の心にも傷はついたんだけど。

でもその子はそれをキッカケに変化した。次に会った時には『この子の名前なんて言うん?』『今からどこ行くん?』と自分から太郎に関わってくれるようになった。
割と予想外の変化だったから驚いたけど、やっぱり嬉しかったよ。
そうなれば私も君とちゃんと会話を成立させる。太郎もちゃんと君の言葉にリアクションするんだよ。

一方花子。
常々『女は面倒くさい』と言っている。小6にもなれば、色々と面倒くさいことも多いようだ。
花子が病気で学校を休むと同級生の女子から多数のLINEが入る。
皆『大丈夫?』と書いてきてくれる。そのLINEを読みながら『○△ちゃんてな、いつも花子が休んだら大丈夫?ってLINEくれんねん』と言うので『良かったなぁ!嬉しいことやなぁ!』と言うと『でもな、○△ちゃんが裏で花子とか他の子の悪口言うてるん、花子知ってんねん』とさらりと言ったのだ。
私は驚き色々と聞いてみたんだが、花子の答えは『まぁでも知ってることを口に出したらそこで終わってまうやん。だから知らんかったことにしとく方がええやん』と言った。

なかなかに大人な対応だ。
いつの間にそんな処世術を身に付けたのかと本当にしみじみ花子の成長を感じたエピソードだった。

世の中を渡って行く時に必要なのは学歴ではなく、人としての感性だと思う。

太郎も花子もこれから大人になり、色々と葛藤するだろう。
自分を理解してくれる人ばかりではない。
だけどその中に、必ず一人は自分と感性が近くて通じ合える人がいるのだ。
そんな人をすかさず見つけて欲しいなと願う母なんだよ。






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by ganbaru-okan | 2017-01-25 18:32 | 色々思う事 | Comments(0)